誰かに 捨てられた子猫が彷徨ってしまうのは
だれかの腕のあたたかさや
一緒に眠った 記憶が
こころに おきざりになっているから

愛されたという記憶は ときに
忘れたい
いらない ものになる
でも、
片付けて しらぬ振りをするのには
切なすぎるから

だれにも
ほんとうに愛されたことがなければ
こんな 夜もないのに
ほんとうに 恋なんてしなければ
ひとりで 生きていけるのに

長い 長い夜すら
一人きりだなどと 感じないで
歩いてゆけてしまうのに

やさしいかもしれない
あたたかいかもしれないなどと思って
似ているだけの 誰かを

探さなくても 済むのに

 

 

 

alley_cat

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