君が笑う
        まるで 少年の頃のように
        (少年の君を見たことはないけど)
        よく晴れた平日の
        あまり人のいない公園の芝生の上に
        何処かのひとの連れてきた犬が
        君に話しかけてくる
        

        犬語がわかる(・・・らしい)君は眼を輝かせて
        大きな犬に触りながら褒めて
        キスをしたお返しに
        大きな舌がなめかえしてきて

        嬉しそうな君を見てると
        こっちも嬉しくなってくる
        いろんな こまごまとした苛立ちや焦りが
        いつも心にあるから
        結局そんなことを二人で話してしまって
        あんまり笑えることって
        考えたらなかった気がするね
        それでもこうして
        君と会いたいと思うのはどうしてだろう?
     

        踏み込めば踏み込むほど
        君の心の闇が見えてきて
        辛くなるのはわかっているのに
        傷を一緒に庇ってやれるなんてそんな立派なことは
        言えやしないのに
        そんなそぶりをしてしまう
        わたしはばか
        時々怖くなるよ
        自分のしていることの責任の大きさがはかれなくて

        からげんきとかでなく
        君がこうして こころから笑う事の出来る
        そんなときが来ればいい
        全てを飾らなくとも
        ほっと出来る場所がもっと身近にあればいい
        君にはもっとこんな顔で笑って居て欲しい

            君の笑顔が

            思い掛けなく突然に出会うそれが
            はっとするくらい素敵だから
            それを見たくてこうして
            側にいたいと思うのだ と
            そう気がついた
            たった今

「笑顔」

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