君のむこうの窓ガラスに
遠い 雷がうつる
夕暮れの空を切るように

 

どうにもならないことを
うわべだけ撫でるように
君とわたしの言葉が
空ろに交わって 離れていく

 

もう この辺にしておこう、キリがないって
何より愛は強いなんて、
強いからこそ 傷ついちゃうでしょう?

 

みるみる暗い雲がつつんで
ワイパーをせわしなく動かしたクルマは
ぴったりと ふたりを閉じこめていく

 

どこへ行こうか?
ひとまず動こうか?
な? そのうち目的は見つかるよ、
いつもこんなふうに くわえ煙草の君は
”とりあえず””ひとまず”
どこかへ逃げたがる

 

稲妻よ 雷鳴よ
味方をしておくれ
強い風に紛れて 何もかもなくしてしまえ

約束も
未来もないのに
必要だけが

ぽとりと

ひざのうえに

のっている

 

 

                        「遠雷」

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