くつを
脱いで裸足になりたい
辺りは
白く濃くたちこめて
もう
これ以上何にも
偶然でなく触れられない
不安なあたしは
感じられるものなら
もうなんでも構わない
臆病だったのに
君というこの霧のなか
何もみえないからこそ
かえって大胆になる

あたしが歩く度
まとわりつく
雨より細かい
君の腕はいつか
知らないうちに
あたしの服を濡らし
体温を奪うけれど

これから先の事なんか
なにもわからない
だけど
君を感じて
歩けるから
導いて

視界を遮る
心にそっと入り込む
いつか 迷い込んだ
深い深い森
だけど 愛した
君は
霧のひと

 

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