切っておとした髪が
床に散らばるのをみていた

鏡のなかの自分が 不安げに満足する

昨日
君が愛したそれを
美容師の剃刀がぷつぷつと切り落とす

こころが 削られてく

君の指が触れた場所全て そがれてしまえばいい
ほんとうは気がついている
君の 優しい指は 剃刀の刃だ と

流れていく

みえない血

金髪の美容師が しなやかな動きで
”いかがです? よくお似合いですよ”

目を ほそめた

                    「髪」