染まる
染まる
指も つま先も
生い茂る夏草の
苦い青さ

君のお喋りは
どこか 遠くの絵のようで
心地よい色使いで
風のように吹き過ぎる
その音を聞きながら
いつかあたしは
その風に手をのばし
戯れる猫の気紛れで
音もなく捕まえてみる
それに気がついた君が
ふんわりと
きびすをかえす

軽く 微笑みながら
気付かず歩くふりをして
夏草は 君の足元から
あたしの立つ場所を
一気に侵しはじめる

好きだよとも
嫌いだとも言わず
それなのにあたしを
いつか
動けなくなる程 縛りつける人は
それにすら気が付かぬふりで
呼び掛ければ
微笑んで首をかしげる
風のように

 

 

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photo:© greenleaves