キーをさしこんだ
霧雨のなか

続く道を辿る
これから紛れ込む 
君の他に 誰もあたしを知らない場所まで
行き着くから しっかり待っていて

降る雨にぬれるのも恐れずに
どこまでも 歩いた時間が愛しいけれど
君の所まではもう あたしには遠すぎて
こうしてナニかのチカラがなければ
今のあたしでは とても行けやしない

方向を指す オレンジ色のカウント
音の重なる その先に何があるのか
もっとはっきりしないと
本当は臆病なあたしは
タイミングが読めずに 右折を待っているだけ

そう君が信じるほど
あたしはつよくも利口でもなくて
鉄の 鎧の下にあるのは
白ウサギの毛皮
それは少しのいら立ちにも負けて傷付くと知っているから
重いけれど 君の前でも脱げないの

だけどこんな細かい雨は
しらないうちに隙間からココロに流れてしまうから
冷えきってしまわぬうちに

そばにいて、って言えない強がりは
やっぱり自分で探しにいくしか

きっと方法はないんだね


『白ウサギの毛皮』

 

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