..........まあだだよ

わたしはそっとそう言いながら
君から　離れて行く

..........まあだだよ

君は素直に目をつむる
わたしの声をききながら
わたしを探している

’もういいかい？’

君はわたしを追い求める
わたしの声を確かめる
わたしを　呼び掛けて反応させる

’もういいかい？’

何度も呼び掛ける君を
わたしは意地悪く突き放す
.........まあだだよ

わたしは君を見ている
どれだけ離れても感じてくれるのか
信じて　待っていられるのか

わたしは君から離れて行く
声だけを残して
気配も体温もかんじられなくなるところまで

君も心で　わたしを見ている
欺く事なく
わたしがちゃんと遠くからでも自分を見ているのか

一定のリズムと
時に不規則な
その呼び掛けをくり返す

ソッチヘ イッテイイノ
オマエヲ　ツカマエテイイノ

わたしは考える
君のそのサディスティックな目が
完全に見開かれる前に
どんな姿にかわればよいかを
実体のない心は
こうなろうと意識しなければ
何にも見えはしない
かわる
その途中を君に知られないように
わたしは逃げる
君に届く場所を正確に選びながら

...........まあだだよ

わたしは君に　必ず聞こえるように言う
そして君も
それをわかっていてきく

’もういいかい？’