思いがけなく戻ってきた
迷子になった子猫は
あの日と変わらないすがたで
嬉しそうににゃぁ と鳴いた

抱きしめてほおずりするのが
懐かしいけど 少し怖くて
そっと 手を伸ばしてた

君のいないあいだに
君のおかげで わたしはこんなに臆病なオトナになった

おかえり
わたしの大切な宝物
君に出会ってみつけた ひきだし
そっとひきだすと
忘れてた どんぐりや 貝殻や
光る小石たちのなかに

あの日
何も恐れなかった
わたしと君がふたりで
うずくまって向かい合っていた
そして

変わらないその瞳の中に
空の青さを映して
わたしを 見ていた

 

 

                                   「子猫」

 

 

 

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