日差しが暖かくて
午後の駐車場で
会話も 途切れていつか
君にもたれて眠った

君の小さな寝息で目がさめた

すっかり眠りにおちた
君の髪が
わたしの肩に埋まって
律義に片手を
ハンドルにかけたまま
君はわたしの前で
全てを放棄する
静かな呼吸が伝わる


 

 

 

 

 

広い広い世界で
どうして君とこうして
ここにいるのだろう
おだやかな午後の陽を
分け合っているのだろう

すれ違う人は殆どが
そのまま 言葉も交わさず
二度と会うこともないのに
肩にもたれて眠るほど
近くにいるのだろう

君が好きだよ
そこにいてね
何の飾りもなく
初めのころ訳もなく
こころをふるわせた
君の髪の香りが
こうしていつか心地よく
指に馴染むように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼吸」
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