ひとを
愛する事に慣れた女は
難しい男ばかり
あえて 愛したがる
愛されないと
解っていて
愛されたがる 男を選ぶ
抱きしめる事を
惜しみはしないよと
伝え続ける
そういう
愛し方を選ぶ

くちびるのはしに静かな笑みをうかべ
指先に乾いた花を咲かせ
それに片目で水を与えるような
面倒な
男を選ぶ

凍りつく 真夏の陽炎
融かすのは熱い腕の中の体温、
俯いたその隙に逃げて行く想いを、
爪のさき
引っ掛けて
うかつなふりで 落としてみる
誰にも 見えない
天使の墜落
少しだけゆらめく
君の目の中にある
ひそやかな
八月の乱反射

 

 

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