蓋を開けたら
優しい音が
いつもいつも
流れて
安心してた
君という名の
小さな箱
ネジを巻いて
途切れないように
大切に持っていた
だけど
ある時気付いた
あたしがあたしの手で
ネジを巻かなければ
ただの
箱で
開けても
大切なものは
何も入っていなくて
当然君からは
うたうことはない
それでも手放さず
ネジを巻き続けたのは
あたしが
君を失うのが
おそろしいから

蓋を開ければ
優し気な君が
再生するだけの
これは
いったい
なあに

 

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